村上春樹とうなぎ
期間限定で公開されている村上春樹さんと読者の一問一答サイトが面白い。
村上春樹さんの回答はユニークでありながらバランス感覚に優れていて、唸ってしまうこともしばしば。
そんな中で以下のような質問が。
うなぎ?と思って調べてみると、村上春樹さんと柴田元幸さんとの対談でうなぎ説というものを話しているそうです。
- 作者: ポール・オースター,村上春樹,カズオ・イシグロ,リチャード・パワーズ,レベッカ・ブラウン,スチュアート・ダイベック,シリ・ハストヴェット,アート・スピーゲルマン,T・R・ピアソン,柴田元幸
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村上「僕はいつも、小説というのは三者協議じゃなくちゃいけないと言うんですよ」柴田「三者?」
村上「三者協議。僕は『うなぎ説』というのを持っているんです。僕という書き手がいて、読者がいますね。でもその二人でだけじゃ、小説というのは成立しないんですよ。そこにはうなぎが必要なんですよ。うなぎなるもの」
柴田「はぁ」
村上「いや、べつにうなぎじゃなくてもいいんだけどね(笑)。たまたま僕の場合、うなぎなんですよ。何でもいいんだけど、うなぎが好きだから。だから僕は、自分と読者との関係にうまくうなぎを呼び込んできて、僕とうなぎと読者で、3人で膝をつき合わせて、いろいろと話し合うわけですよ。そうすると、小説というものがうまく立ち上がってくるんです」
(省略)
村上「必要なんですよ、そういうのが。でもそういう発想が、これまでの既成の小説って、あんまりなかったような気がするな。みんな読者と作家とのあいだだけで、ある場合には批評家も入るかもしれないけど、やりとりが行われていて、それで煮詰まっちゃうんですよね。そうすると『お文学』になっちゃう。でも三人いると、二人でわからなければ、『じゃあ、ちょっとうなぎに訊いてみようか』ということになります。するとうなぎが答えてくれるんだけど、おかげで謎がよけいに深まったりする」
うーん、面白いですね。言っていることは分かるんですが、頭の中で形にならなくてもやもやします(笑)。検索すると色々な解釈があるようです。個人的には三権分立や初期ローマの王制(王/元老院/市民)が三項だから安定したという話を思い出しました。村上春樹さんの作風も言われてみればそんなような作風に感じます。
村上春樹さんの作品では「ねじまき鳥クロニクル」が一番好きです。おすすめです。井戸にもぐりたくなります(?)。
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